弁理士になるためには国家試験である弁理士試験に合格する必要があります。
弁理士は、弁護士や公認会計士と並び5大国家資格と言われるだけあり、難関と呼ぶにふさわしい試験です。
弁護士や特許庁での審査官など特殊な背景で資格を取得することが出来る場合もありますが、多くの人にとっては弁理士試験合格が弁理士になるための必須事項でしょう。
弁理士試験は難関資格であるのは事実ですが、しっかりと試験対策に取り組むことにより弁理士試験に合格することは可能です。
そこで、ここでは弁理士試験とはどのようなものであるのかについてその概要を簡単にご説明したいと思います。
弁理士試験は年に一度行なわれており、だれでも受験することができます。年齢制限も学歴の要求も特にありません。
試験は第1試験から第3試験までの3つに分かれており、それをすべて合格したときに晴れて弁理士となるわけです。第一試験は短答式筆記試験といわれるもので、毎年5月ごろに行なわれます。5つの選択肢から正しいものを一つ選ぶマークシート方式で、およそ60%程度の正答率が必要であると言われています。
第1次試験を合格した人は、第2試験へ進むことができます。この第2次試験は論文式筆記試験となっています。通例7月頃に行なわれるもので、質問に対して自らの筆記文で回答する試験です。
この試験はさらに2つに分かれており、必須科目の論文式筆記試験が最初に、その後数週間後に課題科目の論文筆記試験が行なわれます。
必須科目の筆記試験では、弁理士試験用法文が貸与されてそれを用いることになります。ここで見られるのは、どのように法文を理解し、それをどれほど良く説明できるかという論理的表現方法であると言えるかもしれません。
受験対策のところでもご説明しますが、ここが試験対策としては大きな要となるといっても過言ではないでしょう。
第2試験を通過したならば、最後の口述試験となる第3試験となります。最後の試験ではありますが、弁理士の口述試験がもつ独特の雰囲気に呑み込まれてしまいがちであると言われる最後の難関です。
2名の試験官がいる部屋が「特許法・実用新案法」、「意匠法」、「商標法」という3つの科目によって分けられています。そこへ一人づつ入って行き、それぞれ10-15分ほどの口述試験を受けるというわけです。口述試験は通例10月頃に開催されます。
これらの3つの試験を見事クリアすることにより、晴れて弁理士試験合格というわけです。
合格発表は11月頃です。つまり、5月に始まる第一次試験からようやく合格が分かるのが11月になるというわけです。しっかりとした覚悟と真剣な姿勢が必要なことがここからも理解できるかもしれません。
とはいっても、一度にすべての試験をクリアしなければいけないというわけではありません。平成20年の合格者からの新たな取り決めとして第1試験、第2試験はそれぞれ合格してから2年間は有効となりますので、再度一度合格すれば、その後2年間は受験する必要がないということです。
ですから、毎年ひとつづつ試験をクリアしていくという目標を立てることも可能なのです。
弁理士は5大国家資格とも呼ばれていることから、難関資格であると見られているようです。では、実際のところその合格率はどれほどなのでしょうか。実はこの合格率と受験者の実態を調べてみると、弁理士試験への新たな希望とチャンスの拡大を見つけることができます。
確かに以前の弁理士試験の合格率は受験者総数に対して4%程度と難関といえるものでした。しかし、2002年に試験制度が改革となり、その結果ここ5年間の平均の合格率は6.9%ほどとなります。つまり最近では7%近い受験者が合格していることになるわけです。ここから、弁理士試験が依然よりも合格しやすくなっているという明るい側面が見えてきます。
さらに、弁理士の業務内容から、現役の理工学系の大学生が有利なのではという見方も強いようですが、実際のところはそうでもないようです。
最近の合格者のデータを分析してみると、合格者のうち8割ほどは社会人であり、また全体の合格者の6割ほどは30-40代という年齢層であることがわかってきているからです。つまり、試験会場で周りを見回して、有名大学の学生たちが多いように思えても、恐れる必要はないということですね。
同時にこれは、すでに何らかの仕事を始めている人たちが、仕事をしながら勉強をして合格しているケースもかなり多いということになります。
とはいっても、やはり合格率が6-7%というのは確かに大きな壁のように思えるかもしれません。しかしここで、弁理士試験が3つに分かれていることを忘れてはいけません。
3つの試験のそれぞれの合格率を調べてみると、興味深い結果を見つけることができます。2008年度の弁理士試験では、第1試験の合格率が約30%、第2試験の合格率が約21%、そして第3試験の合格率が約88%という結果が出ているのです。
つまり、3人に1人程度の受験者が第1試験は突破できているということです。第2試験や第3試験はそれ以前に合格した人が受験していることもありますが、これら各試験の結果を見るだけでも、試験対策に関しても新たな側面を知ることができると共に、決して突破することが難しすぎるような試験ではなく、合格のチャンスがしっかりと広がっていることが明らかになってくるのではないでしょうか。
弁理士試験は効果的な勉強方法とそれに必要な時間をしっかりとかけることにより合格率を飛躍的に高めることができます。そこで、合格するための試験勉強には、これらの試験が3つの別々の性質をもった試験に分かれていることを理解して、それに応じた時間と勉強方法を行なう必要があります。
それでは、これら各試験の詳しい勉強方法は後ほど説明することとして、ここでは弁理士試験に合格するための時間をどれほどかければよいのかという点を確認しておきましょう。
一般にいままでは弁理士試験合格のためには少なくとも3000時間以上は勉強する必要があると言われています。これでは1年で単純計算で考えても、1週間で60時間以上の勉強が必要になることになります。
これはあまり実際的な計画であるとは言えないことでしょう。しかし、これはいままでの弁理士試験の状況から概算されて言われてきたことです。最近の合格率の増加や平成20年度合格者から適用になる一度合格した第1試験および第2試験は2年間有効となるという状況を考えると、実際に必要な時間はそれほど多くはならないはずです。また、どのような勉強法をとるのかということも大きく関係してきます。
これはどのように各試験をクリアしていく計画を持つかということとも関係してくるでしょう。たとえば、最初の試験でストレートで第3試験まで合格を狙うならば、第1試験の短答式試験への対策としての勉強だけに力を入れるのではなく、第2試験をしっかりと視点におかなければいけないわけです。実際、そこがおろそかになっている受験者が多いということが、第2試験の合格率の低さに表れているといえるでしょう。つまり、第1試験から第2試験まではおよそ2ヶ月ほどしかありませんが、2ヶ月で第2試験への対策を行なうのは不十分であるということです。
また別の方法として、各試験を一年ごとクリアしていき、3年の期間をかけて合格へ到着するという計画を立てることも可能です。特に仕事をしながら受験する場合などは、各試験への対策や勉強方法をしっかりと分野別に行なっていけることから、より効果的な勉強を行なえるかもしれません。その場合は、総合的な勉強時間数は概算しても2000時間程度で済む場合もあるわけです。いずれにせよ、時間をかけることも大切ですが、どのような勉強方法を取っていくのかということは、合格の可否を左右する大きな要素であることの間違いありません。それでは、弁理士試験のための効果的な勉強方法とは一体どのようなものなのでしょうか。その点を続く第3章でしっかりとご説明したいと思います。
